正命

みなさんは、仕事について、

どのように考えて、いらっしゃるのでしょう。

私は、祖父から教わったことは唯一つ
「損して得取れ」という近江商人の心得で

父から教わったのは
「金もいらない、地位もいらない、名誉も命もいらない
 という人間ほど恐ろしい物はいない」
という西郷隆盛の言葉です。

仏教について、かじるようになって長いこと、
金儲けにあまり一生懸命になると、
凡夫の虜になるらしいから
必要悪なのかな・・

などと、稼ぐことに 真剣には、なれませんでした。

ところが、仏教の基本中の基本であるはずの八正道を眺めていると
其の5番目に此の、正命があります。

そして、正命とは仕事のことです。

仕事?仏教は基本 悟りを開くために

出家して

お金になる仕事から全てはなれ、

畑を耕すこともせず、
葬式もせず
(原始仏教ではそうでした)

ただ乞食になることにより
(托鉢とは乞食をすることです)

修行を続ける
という教えではなかったのか?


また例によって、英語訳を見てみると

Right Livelihood 「命をつなぐ手段」とあります。


そこで、思い巡らして見ると


茶道では

利休の師匠にあたる

村田珠光が、一休和尚に、参禅を願い出たところ

「仏法は、茶の湯の中にあり」と一喝されたといいます。

茶道にまい進することが、仏道修行というのです。

茶道から、あらゆる

芸術創造の道
技術、職人は、名人になる修行が

仏道に叶う気もします。

事実、人間国宝という人がいます

絵画、演劇など 其の技が神に入るという人たち
それだけでなく

あらゆる職人芸の世界で、素晴らしい技を極めれば

無形文化財保持者として「国の宝」とする

というのが、

我が国の素晴らしい伝統です。

そういえば、ヨーロッパにも、マエストロという
尊敬される、職人制度があります。


それでは、商人、売ることはどうでしょうか?

お金儲けにために、人を騙したり
駆け引きをしたり・・
商売人には卑しいイメージがつきものです
セールスマンお断りという張り紙が
それを象徴しています。


実は、近江商人にとっては、商売そのものが
仏道修行と教わった覚えがあります。

ハーバードビジネススクールや、

7つの習慣のコービー博士が

WIN/WINという考え方を示したのは20世紀の後半ですが



近江商人が、

売り手よし、
買い手よし、
世間よし

というトリプルウインを示したのは
数百年前です。

買い手のためにプラスになる
買い手の心理を完全に理解する

自他不二・以心伝心の境地に、いたるとすれば

剣禅一如に等しい、

まさに仏道修行です



其のように考えてみると

人生の最も貴重な時間を
成人の、最も活動的な昼間の時間を
仕事に当てるのですから

其の時間が、いやなことでも我慢する、

お金をもらうための苦役であれば

人生の大半は、虚しいものに成るでしょう。


ソレがどのような職業であれ
一生懸命努め、自己の最善を他者に尽くしきれば
やがては天地自然の道理を体得する
コレが人生の意義ではないでしょうか


ソレが仕事だと考えるのが、

日本伝統の勤労観

ではないでしょうか


このように考えると
サボったほうが得などとは思わなくなるはずです。

サテ来週は正精進です。

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