「感情の脳科学」中村俊著東洋書店2500円はお勧めです。
先ほど読了しました。いろいろの意味ですばらしいです。
内容は、
最近30年ほどの観察装置の進歩で、
生きた脳の活動を
捉えられるようになった結果、
今までは、認知、何を感じ取るかどう認識するかという
ことが中心だった脳研究が、
どのような刺激が、どのような感情を引き起こすかが
よく分かるようになり、
そのことがどういう行動ににつながるかなど
発達や教育、あるいは心理学などに
どんな
発見をもたらしたか、を解説したものですが・・・
無味乾燥な冷たい科学者ではなく
さすが「感情」を嫌気有する人
子どもたちは勿論、実験動物達への愛情に溢れ、
現場的で、目の前の生きた人間の問題を離れることなく
同時に、普遍的な、社会全体の問題や、科学というものについての
哲学的考察を含んでいます。
人間の成長、
あるいは新時代のあるべき、教育ということに
関心のある私にとって、
大いに学ぶことがありました。
読んだ本で、大事だと思ったところに付箋をはるようにしていますが、
付箋の数が数えられないぐらいです。
そして、科学者としての、きちんとした姿勢を
揺るぎなく
保っている筆者が、
その科学の限界を明確に自覚し
更にそのことの 故に、研究の方法
研究発表のありかた、
議論の仕方について、
明瞭に指摘されているあたりは、
感動的でさえあります。
まず、「はじめに」の最後の数行
「科学には、あくまでその時までに得られたデータにもとづく
解釈という相対性がつきまとう。
したがって、解釈の妥当性に就いては、読者自身が科学的根拠
の信憑性に対する判斷の主体として振る舞うことが期待される。
これは新聞、雑誌、インターネットに流れている情報に対する
主体的判斷ということにもつながっている。
裏を返せば、情報を提供するものは、結論だけではなく、
何を根拠とし、何故そのような解釈をするかを明示する義務がある。
議論する場合も同様で、・・一緒になって解決しなければならない
現実的な問題を、それぞれの提起する根拠と解釈の妥当性をめぐり
論議する必要がある。」
第二部130P
社会性行動を統計学的分析によって「見える化」する
「人間の認識は進歩するが、何時の時代においても絶対的なものではなく、
相対的な真実でしかない。
まして、ある研究者が観察したり、実験して得た結果は、
現象のごく一部にとどまる。
全てを見尽くすには、無限の観察者か無限の時間が必要である。
さらに、現象自体に確率的な性質が有り、また観察自体にも
様々なノイズが含まれているため、観察情報は更に制約されたものになる」
私は「科学の限界」を科学者自身がこれほど鮮明に表現したことに
感動する。
そしてその自覚を持つがゆえに、慎重に、実験し
他の角度からの意見を尊重する態度に納得する。
対話というのはそのようにして可能になる。
それが、西洋の最高の叡智
謙虚でかつ前向きな知性であろう。
そして、此の発表のテキストに
言及はされなかつたが
身心一如・天人相応 という文字があった事を考える
中村先生は私より2歳年長で、脳、心、発達、進化、というようなことを
30年以上研究されている、
人類最高の心理学、東洋哲学に関心が無いはずはない。
東洋哲学は、事柄を外から観察するのではなく
内から直覚することを求める
そうでなければ
全体を一気につかむことはできないからである。
デフォルトというのは
なにもしないのではなく
ずべてに、気を配り、偏らない「ゆらぎ」の構え
臨機応変、自由自在ということではないだろうか
次回人間教育の角度から内容を紹介したい

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