渋沢栄一による「富豪の義務」というのは簡単で、
金持ちになったものは他の人に比べ、
自分自身の、知恵才覚努力でなったと思いがちです。
しかし、少し考えてみれば、
まず、商売が上手くいくには、
国が安定していなければなりません。
我々のような平和な日本に育ったものには、
あまりにも当たり前で空気のような存在の平和ですが、
いまウクライナはどうでしょう。
私の父は広島の原爆の直後を経験しています。
渋沢は明治維新の動乱を体験しました。
平和は当たり前ではないのです。
そして、道路があり、電車があり、取引先があり、
需要があり、顧客がなければ、
仕事はできず、富豪にはなりようがありません。
つまり、富豪になった人ほど、
その程度に応じて、社会の世話になっているのです。
従って、その程度に応じて、社会貢献しなければなりません。
渋沢は、500の企業を作り、600の団体を作り、
70歳で仕事を整理しましたが、
そこに毎日来客があり、それを拒むことなく、
どんな人にも丁寧に応対しました。
彼ほどの人脈があり、資金があり、信用がある人が、
門戸を開ければ
それは、山程人が押し寄せたことでしょう。
そのような、庶民に会う暇などないだろうと言われると
「周公三度哺を吐き 沛公三度髪を櫛る」
という言葉を引用したそうです。
周公というのは、中国古代の周の国を興した人物です。
人に合うことを大切にし、食事の時人が訪ねてくると、
待たせるのではなく、食事を吐き出して人に会うこと3度。
沛公は、漢の高祖、劉備のことですが、
朝、髪を整えている時に人が訪ねてくると、
それを中断して人に会うこと3度という話です。
この世の富豪という人が、
自分自身の力だけで金持ちになったと信じ、
一般庶民がお金がなく苦労しているのは、
お前ら、努力せず、才覚もない、貧乏なのは自業自得と
公共事業、社会事業を顧みなければ、
社会民人とに衝突が起こります。
ストライキとなり更にひどくなれば革命騒ぎになります。
そのようなわけで、
金持ちほど社会公共の事業に賛同すべきだというのです。
明治神宮外苑建設、400万円ほどかかるけれど、(今の価値なら400億か?)
岩崎、三井は勿論、成功者ほど徳義上の義務があると信じる、
と語っています。
「心学」というものの発想が少しずつ分かってくる気がします。

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