509 論語と算盤 part 34 富豪の徳義上の義務

渋沢栄一による「富豪の義務」というのは簡単で、
金持ちになったものは他の人に比べ、
自分自身の、知恵才覚努力でなったと思いがちです。

しかし、少し考えてみれば、
まず、商売が上手くいくには、
国が安定していなければなりません。

我々のような平和な日本に育ったものには、
あまりにも当たり前で空気のような存在の平和ですが、
いまウクライナはどうでしょう。

私の父は広島の原爆の直後を経験しています。
渋沢は明治維新の動乱を体験しました。
平和は当たり前ではないのです。
そして、道路があり、電車があり、取引先があり、
需要があり、顧客がなければ、
仕事はできず、富豪にはなりようがありません。

つまり、富豪になった人ほど、

その程度に応じて、社会の世話になっているのです。

従って、その程度に応じて、社会貢献しなければなりません。
渋沢は、500の企業を作り、600の団体を作り、
70歳で仕事を整理しましたが、
そこに毎日来客があり、それを拒むことなく、
どんな人にも丁寧に応対しました。

彼ほどの人脈があり、資金があり、信用がある人が、
門戸を開ければ
それは、山程人が押し寄せたことでしょう。

そのような、庶民に会う暇などないだろうと言われると
「周公三度哺を吐き 沛公三度髪を櫛る」
という言葉を引用したそうです。

周公というのは、中国古代の周の国を興した人物です。
人に合うことを大切にし、食事の時人が訪ねてくると、
待たせるのではなく、食事を吐き出して人に会うこと3度。

沛公は、漢の高祖、劉備のことですが、
朝、髪を整えている時に人が訪ねてくると、
それを中断して人に会うこと3度という話です。

この世の富豪という人が、
自分自身の力だけで金持ちになったと信じ、
一般庶民がお金がなく苦労しているのは、
お前ら、努力せず、才覚もない、貧乏なのは自業自得と
公共事業、社会事業を顧みなければ、
社会民人とに衝突が起こります。
ストライキとなり更にひどくなれば革命騒ぎになります。

そのようなわけで、
金持ちほど社会公共の事業に賛同すべきだというのです。

明治神宮外苑建設、400万円ほどかかるけれど、(今の価値なら400億か?)
岩崎、三井は勿論、成功者ほど徳義上の義務があると信じる、
と語っています。

「心学」というものの発想が少しずつ分かってくる気がします。

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