ハーバード流交渉技術と営業

営業は、一般的に、売るべき商品に
不満を言うことは許されません。

お客様の理解力や資金力に
注文を付けることも出来ません。

ひどい場合、
『売れないものを売るのが営業だ』
と言われたりします。

営業なんだから、
なんだって売れるだろうと思われているのは、

医者なら全ての病気は治せるだろう
というのと同じで、

IT分野の人間だったら、コンピューターに関わる全て
IBMの370というような、巨大なコンピューターのメンテナンスから、
最新のパブリックデータベースから、SNSまで
あらゆる分野の、何でもわかるはず・・・

というくらい乱暴な話です。

私の経験からいえば、
営業初心者は、
先輩から教わったことをお客様に伝えるだけなので、
何の分野でも同じことですが、

新人、一人前、中堅、ベテラン・・とキャリアを積むにつれ、
知識は増え、顧客との応対の経験も多岐に渡り、
商品開発の背景についても詳しくなり、
説明のバリエーションも増えます。

顧客との取引が継続的で長く続くなら、
顧客に喜んでもらえるように・・
工夫と努力を重ねるようになります。

このようになって初めて、交渉の世界に近づいてくるのです。

ハーバード大学で教える交渉の科学のポイントは、先週も書きましたが、
1 人と問題を分ける。
2 立場の違いではなく、共通の利害に焦点を絞る。
3 複数の選択肢を用意する。
4 客観的な基準に基づいて、意思決定する。
ということなのですが、
これは、逆にいうと、普通のアメリカ人の交渉は

1 交渉相手を敵だと思う。
2 売り手買い手などの立ち場にこだわる。
3 一つの選択を押し付けようとする。
4 自分の基準を相手に飲ませようとする。

そのため、少しずつ駆け引きし、
その度に意思決定をするはめになり
関係者が増え、時間はどんどん長引きます。

・・それに耐えてなるべく有利な条件でまとめるのが、
タフネゴシエーターだと思われています。

交渉は、どちらが勝つと、どちらが負ける、
と思われがちですが、ハーバードの考えは違います。

交渉は交渉する前より後の方が、
双方ともに満足するものでなければ、意味がありません。
ゼロサムゲームではなく、ウィンウィンを狙います。
そのためには、交渉のテーブルの前に、
相手の本当の望み、本音を聞き出す必要があります。

交渉の前の下話、というと、
ネガティブな非公式の裏取引という印象がありますが、
実は、これが交渉の真髄、双方のメンツをたて、
双方ともに満足するための準備なのです。
私はこれが、営業の達人・・・
つまり、問題の解決を交渉の前にする
ということなのだと思います。

これを日本では、【根回し】と呼びます。

来週からまた、論語と算盤、日本文化に戻ろうと思います。

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