渋沢は言います。
学問と社会の関係は、
あたかも地図を見る時と、
実地を歩行する時、ごときものである。
地図を開いて目を注げば、
世界もただ一目のもとにある。
一国一郷は、指顧の間にある如く見える。
いかによくできた地図でも、
実際と比較して見ると、予想外のことが多い。
それを深く考慮せず、充分に熟知したつもりで
いよいよ実地に踏み出してみると、
茫漠として大いに迷う。
山は高く、谷は深し、森林は連なり、
河は広く流るると言う間に、
道を尋ねて進むと、高岳に出会い、
何ほど登っても頂上に達し得ぬ。
あるいは大河に出会って途方に暮れ、
深い谷に入って、いつ出ることができるか
と思うこともある。
もしこの際、充分な信念を持たず、
大局を観る明がないなら、
失望落胆して勇気は出ず、自暴自棄に陥って、
野山の差別なく狂いまわる。
如くなって、ついには不幸な終わりを観ることだろう。
世の中には有用な書物は山ほどありますが、
現実は、探偵小説のどんでん返し以上の、
とんでもないことが起こることがあります。
その時は、あまりのことに動転し、
冷静でいることは難しいです。
だからこそ、しっかりとした信念、
つまり、これはする、これはしないという
自分のルールと、
自分の置かれている状況を大局から観ます。
自分を大空から
その周囲とともに観るような、
大局観を養う必要があるように思います。

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