1992年9月16日ブラックウェンズデー
数週間、英国政府は人為的な介入で
ポンドを買い支えましたが、ついに白旗を掲げ、
欧州為替相場システムから離脱します。
ソロスは
「イングランド銀行を潰した男」
と言われています。
彼は数週間で1000億円以上の利益を上げましたが、
投資した資金は1兆5千億
勝率95%利益は20%
と読み切った上の賭けでした。
なぜそれが出来たのか?
4種類の知識
ソロスは1940年代末、
ロンドンスクールオブエコノミストで哲学を学びました。
師はカール・ポパー。
『反証可能性』を叩き込まれました。
反証可能性とは、
違う答えを導く余地が常にあることが【科学】の条件
ということなのです。
1、客観的知識
観察や測定が可能、何度でも再現できる、普遍的に有効。
ものの見方や独自の視点という考え方とは無縁。
人間を観察できるものだけで理解する。
ビックデータ、観察者の先入観や価値判断を廃して評価する。
19世紀の実証主義、
17世紀のベイコン、デカルト、ニュートンに遡ります。
しかし、哲学者トマス・ネゲールは
「どこでもないところからの眺め」と呼びます。
2、主観的知識
個人的な感覚、見解、認知心理学の対象となる内面世界。
首が痛い、お腹が空いた・・純粋な主観的知識は意外に少ない。
3、共有知識
公共の文化的知識、人間の経験の共有された領域。
勢い、ムード、気分・・個人の意思より大きな力をもつ。
4、五感で得られる知識
イラクの戦争を体験した兵士は偽装爆弾に近づくと、
自分の体に何かの異変を感じる。
ベテランの消防士は第六感で、炎の動きが予測できる。
腕のいい救急救命士なら、
心肺停止の予兆がない段階でAEDを手にしている。
体の中からサインがないため、
いつまでも行動選択できない病気もあります。
ソロスは自分の体が、市場システムの一部になっているといいます。
サーファーが、波の動きの一部になるように。
ソロスは自分の判断がベストだと、
自分の体のどこかが教えてくれるはずだというのです。
背中か、頭か、腹か・・
ソロス自身は大きな決断をするときは、
背中の痛みか、寝付きの悪さを基準にします。
彼のメンバーの一人は、気管支炎のような症状が出たら、
持ち高に過度の借り入れが発生しそうな
虫の知らせとして、真剣に受け止めていました。
4つの知識をどれも大切にします。
他のチームは客観的、数学的知識による分析だけなので、
彼らの判断を予測するのは簡単でした。
敵の動きをきちんと読めれば、
勝つのは必然なのです。
他の三つを磨くことが大切な時代になっています。
次週は感覚の磨き方を考えます。

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