認知学習理論が誕生するには、それ以前の学習理論がなんであったかを理解すればわかりやすいです。
これは何でもそうで、それ以前の技術があり、そこに何らかの問題があり、新しい技術が生まれます。
かつて、人間が言語を学ぶというのは過去の文献を読むことでした。
現在の学問は、近代西洋の学問が主流なのはいうまでもありません。その、学問論文は主にラテン語で書かれました。ラテン語というのは、古代ローマの言葉で、古代ローマ人はみな死んでいるのでその発音はわかりません。したがって、発音は無視して、古典の文章を読み何が書いてあるかわかる、という学問になります。これを古典文献学といいますが、長く言語学の主流でした。
日本でも、教養というと中国の文献を読むことで、これを漢文といいます。漢文は、返り点を振り、語順を日本語の文法に変え、日本語で読みます。
『百聞一見不如』というのは、百聞は一見にしかずと読みますが、もとの中国語でどう発音するかは問題になりません。したがって、どれほど漢文の勉強をしてもそれだけでは中国語の会話はできず、辞書と文法書でどれだけ英語を勉強しても英語が話せるようにはならないのです。
英語についても同様で、辞書と文法書が頼りでした。そこで、会話だけは別に教えようと、生まれたのが、行動心理学による外国語学習となります。
行動心理学は、科学的とは目に見える行動を観察することで、客観的に測定できるのが実験、測定です。
フロイトの心理学のように、目に見えない深層心理など考えず、目に見える行動だけを追います。その上、ダーウインの進化論により、人間と動物は本質的に同じものだから、動物の行動を観察することで、人間の学習についても理解できるという考え方です。20世紀初めにはこのような考え方が最新の科学でした。
動物に芸を教えるとき、例えば、飼い犬に「お手」を教えるとき・・
正しい形を繰り返す・・・・「お手」
うまくできたらすぐ褒める・・{よしよし}
意味は教えない・・・・・「人間の前足は手というんだぞ・・とは教えない}
やがて習慣となる・・というのが基本形となります。
これを人間に応用したのがパターンプラクティスとか、ミムメムと言われるやり方で、とにかく正しいやり方を繰り返します・・。問題は、「覚えたフレーズしかできない」ということです。
言葉ができるというのは、初めて読む文が読め、初めて聞く会話が理解できるということです・・
新聞を読んで、記憶のある文章だったら、それは昨日の新聞です・・。このやり方には基本的な問題があります。これを最初に指摘したのが、アメリカのノーム・チョムスキーで、1955年のことでした。このチョムスキーの発見はその後認知科学と言われる大きな分野となり、今話題のAIにまでつながります。
次週その内容を概観します。


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