渋沢は言います。
お金は大事にしなければならない。
なぜなら、それはこの世のすべてのものの
身代わりだからである。
お金でそれらが買えるということは、
それらと同じ価値を持つということだ。
宋の朱子は
「一食一飯まさにこれを作るの難きを思うべし、
半紙半縲来処の易からざるを知れ」
要するに、金は社会の人々の工夫努力の現れであるから、
大切にしなければならぬ。
しかし同時に、社会の活動を便利にするためのものだから
よく集め、よく散じてようでなくてはならぬ。
しかし、よく切れる刃物も、
医師が使えばメスとなり人を救うが、
悪人が使えば、人殺しの道具となる。
要は使う人の人格で、金はその価値を知り、
世の中の進歩発展のため
十分に活用しなければならぬ。
ここまで読んできて、
心学とはなにか見えてきたように思います。
動物と人間が違うのは、
その経験知識を蓄積し、
文化社会を形成していることです。
その社会というのは、先人の知恵の蓄積と、
世界中の人々の、奮励努力の集積であり、
我々誰でも、先祖の恩、社会の恩を被っています。
このことを深く感じ、理解するのが教養であり、
心学というものだと思う。
一言で言えば、「お陰様」ということを知ることなのです。

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