効力の有無はその人にあり

お金は大事に扱わねばならぬ。
当たり前のことのようですが、
本当にお金を大事にするか、
あるいは汚れたもののように、ぞんざいに扱うか、
人によって随分違います。

渋沢は、また駅の例えを取ります。

「東京停車場に行って、汽車の切符を買おうとするに、
いかなる富豪でも赤切符を買えば、三等にしか乗れない。
また、いかに貧乏でも、一等切符を買えば、一等に乗れる。
これは全く金の効用である。」

「しかし、もとより金は無心である。
善用されるか、悪用されるかは、
その使用者の心にある。」

「昭憲皇太后の 持つ人の心によりて宝とも
       仇ともなるは黄金なりけり」

更に孔子も

「国、道有りて貧かつ賤しきは恥なり
   国、道なくして富かつ貴きは恥なり」といいます。
さて、ちなみに、昭憲皇太后とは、明治天皇の皇后で、
出自は三条左大臣の娘
おそらく、生涯現金には触ることなどなかった人だと思います。

何しろ、江戸時代、旗本の奥様でも、お金に触るのは汚らわしいと
魚屋から魚を買う時でも、財布ごと渡して代金を取らせたという程
金銭は卑しいものとされていました。

これ以上ないというほど高貴な立場、育ちの人がいうので、
値打ちがあります。

明治の時代に婦女の教育のため、お茶の水女子大のの設立。
病み傷ついた人々のため、日本赤十字社を作られました。
渋沢は大蔵省の重要な職を辞して野に下り、
第一銀行を創設しましたが
その時同僚がその才覚を惜しんで自宅まで引き止めにきました。

「君は次官にも大臣にもなれる人なのに、
卑しい金銭のために商人になるのか」

それに対して渋沢は

「金銭を卑しいものと考える、
その考えでは日本は欧米に対抗出来ぬ。
ただし、私は金銭のために、仕事をするのではなく
生涯論語の精神によって商売をする」
と宣言しています。
それでは、金の稼ぎ方、使い方とは・・また次週みてみます。

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