ABC予想

先週、論語と算盤に戻るように予告しましたが、
もう、1週間だけ寄り道したくなりました。
NHKスペシャルで、【ABC予想】という数学の大問題に、
日本の京都大学の望月新一博士が、
その解決証明論文を2012年発表。
論文の査読が2020年4月完了し、
専門誌に掲載されたとやっていました。
この査読された論文が、専門誌に掲載されるということは、
その論文の正しさが、多くの専門家によって
認められたということを意味します。
この論文は「宇宙際タイヒューラー理論」と名付けられ、
一般人はもとより、
最先端の数学者でもわからない
というぐらい難解なのです。

アインシュタインの相対性理論が発表されたとき、
それを理解できるのは世界に数人しかいないと言われましたが、
それは物理学の話・・
宇宙自然の実態に迫ろうとする学問だからで、

数学は、いくつかの約束事からスタートする
人間が作った学問なのだから、
誰がやっても、同じ結論に至るはずのものなのですが・・
世界中の数学者が、それを認めるか認めないか
大議論になっていました。
例えば、この理論が発表されたとき、
証明されている、あるいは間違っていると議論が分かれ、
冷静なはずの数学者が
殴り合いになりそうだったといいます。
2015年、整理のため、国際学会が開かれましたが
結論にいたらず。

2018年には、その年、フィールズ賞を受賞した、
数論の世界的権威、ベーターショルツ博士が京都を訪ね、
望月博士と議論を重ね、物別れとなりました。

なぜ、論理の必然の展開のはずの数学で、
このようなことが起こるのでしょうか?

内容について興味を持たれた方は、
ネットで検索すれば情報は得られると思いますが
数学者がわからないのだから、あまり深入りはお勧めしません。

彼の日本での学問の友、東京工大の加藤文元博士は、
この論文は現代数学が新しい段階に入る第一歩で、
「対象に対する認識論の違い」によると表現しています。
数学というのは、
例えば「りんごが3つ」、「瞬きが3回」、
この2つは全く違う事柄ですが、違いには目をつむり、
「3」という数だけを考えます。

19世紀にポアンカレが、
「数学とは、異なるものを同じとみなすというところからスタートする」
と言いましたが、
望月は同じものを異なるとみなします。
望月の理論では内容的に全く同じ、

数学の世界を2つ創るところからスタートします。
Aという数学宇宙は我々によく知っている数学の世界。
Bという世界は、A。の世界の自乗になっている。

Aで2のものはBでは4になり、
Aで4のものはBでは16になっている。

BからAに戻れば√になっている。
したがってAの世界とBの世界は全く同じである。

というところからなのですが、
例えばAにもBにも、4がでてきますが、それは同じものなのか?
全く同じで、同時に異なる。などというのは矛盾ではないのか?
私のメルマガを長く読んでくださっている方は
この話、どこかで聞いたことが・・
と、思い出していただいたかもしれません。

四句分別と現代物理学というテーマで書いた議論で、
四句分別とは

『Aである』

『Aでない』

『AでありAでない』

『Aであるものでもなく、かつないものでもない』
このような、思考法を古代仏教では詳細に展開しています。
多くの人に知られているのが
般若心経の有名な一節、

『色即是空 空即是色』です。

数学は人間の作った学問ですが、
そこには解けない難問がたくさんありました。

ところがこの、望月の考え方の展開で
どんどん解決するといいます。

現代物理学の最先端は
超紐理論というのが先端ですが、
この分野では、南部陽一郎を始め、日本人が活躍しています。

望月新一の数学理論の展開が
四句分別に似ているということは
大乗仏教の知識のある人なら必ず気がつくはずと思います。

東洋思想を血肉化し、
西洋近代科学の先端を生きる日本人は
世界を切り開く、知の地平線の開拓者だと思います。

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