複雑系の科学

今週は身近な話題を取り上げたいと思います。
私は、日本文化が世界を救うと言ってきましたが、
よく考えると、誤解を招きやすい言葉だ、と思うようになりました。
日本人が、日本は最高というのは、
アメリカ人が、アメリカ最高というのと同じで、
いわゆる、我田引水、手前味噌、
お国自慢のたぐいと思われやすいです。
そこで、身近な話題というのは、
我々が、生まれたときから自然に身に着けた、
日本語の不思議についてです。

皆さんは、ご自宅で、奥さんあるいは旦那さんから、
なんと呼ばれていますか?
お父さん、とか、お母さんなどと、
呼ばれているのではないでしょうか?
それでは、あなたは(以後仮にあなたが男性だとします)
奥さんから、お父さんと呼ばれるのですが、
あなたは、奥さんのお父さんでしょうか?
(旦那さんというのが正しいでしょう)
それではなぜ、お父さんと呼ばれるか、
というと、あなたの子供からみて
あなたは、お父さんであり、奥さんはお母さんであり、
それが家族の中での普通の呼び方になるのです。
つまり、子供から見た呼び方が、一般化するのです。
私のうちは、子供がいませんが、
私の奥さんは時々、私のことを
お父さんといいます・・
なぜかというと、家には猫がたくさんいて、
彼らは、うちの奥さんを母親のように思って、
あとをついてまわるのです。
その猫のなかに、言うことを聞かないのがいると
『お父さんが来るよ!』といって叱り、
その延長で、「お父さん、それとって」などと言うのです。
日本語では夫婦の間でお互いの呼び方は難しいと思います。

あなた、とか、お前とか、なかなか照れくさくて言えません・・
結局なるべく、呼ばずに用件を済ませようとします。
また、家族の間で、お兄さんとか、
お母さんとかは言えるけれど
弟よ、とか、娘よ、とかは言いません。

吉康、とか、るみ子、などと名前で言います。
もっというと、自分のことをなんと呼ぶか・・

男性は俺や、僕などと言いいますが、
この呼び方も、どんどん変化しています。
また、相手のことを、あなた、とか、きみ、
などと言いますが、これも変化しています。
『僕』というのは、
江戸時代には手紙などの中で使われる文語で、
あなたの「下僕」というへりくだった言い方でした。

それが明治になって口語になり、
今ではへりくだった感じはまったくなく、
正式の場、公の場では使わないほうが良い
砕けた言い方になっています。
『貴様』という言い方は、
古くは、貴方様という丁寧に相手を敬う言葉でしたが、
だんだん、「貴様と俺遠は、同期の桜〜」などと対等になり
今では、『貴様!』と相手を罵るようなときにしか
使えない言葉になり
日用から外れて使われなくなります。
これは、日本語にどうも、特有な現象のようなのです。
インド・ヨーロッパ語族というのは、
世界最大の言語集団で、
英語、ドイツ語、オランダ語から、
フランス語、イタリア語、ロシア語さらに
ヒンズー語まで同じグループと言われています。
その言葉では多少のバリエーションはあるが、
一番親しみのある英語では
有史以来、ずーっと自分のことは『 I 』と呼んで変わりません。
日本語は、自分のことや人のことを指す言葉が、
いわゆる、忌み言葉、タブー語。

つまり、直接呼ぶのが、おそろしいので、
神や熊のようなものを直接呼びません。

あるいは恥ずかしいので、間接的な表現、
手水、手洗い、化粧室などというのが、
使ううちに暗示性が薄れ、露骨な表現になり、
やがて変化するのとよく似た使われ方をしているのです。
私はこのことが、
日本文化と深く結びついていると考えます。
日本語は主語を省略しても通じる、
数少ない言葉といわれますが・・・
それが日本語の特徴によるものと考えます。
次週はそれがなぜ
『日本文化が世界を救う』ことに通じるのかを考えてみます。

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