質問とはなんだろうか

前回の「べドガーの質問」には、多くの方から、反響をいただきました。
私は、長いこと、この話を、セールスセミナーで紹介し、「素晴らしい」と

賞賛されるのが当然と思い込んでいましたので、賛否両論なのに

驚きました。
『一方的で、強引・予約された、医者も突然で迷惑なのでは・・』

という方もいましたし、

「『詭弁』に気付かせず、スピーデイに説得するというやりかたですね・・

ブース側に、べドガーの説得を破る方法があるはず・・

情報・人脈ともに、べドガーに劣らないはずのブース氏があっさり商売されるなんて

腑に落ちません・・」

という方もいたので、私のほうが、考えさせられました。

ほめてくれ方も、勿論いらっしやるのですが・・・
そこで、今回はあらためて、私が、べドガーの質問によるセールスという手法

がなぜ素晴らしいと思っているか、お話したいと思います。

べドガー以外の保険の外交員は、価格競争をしながら、他社の悪口を
言って、競争に勝とうとしていた事でしょう。

「当社の方が、歴史が長く、規模も大きく、安定しています・・・」

「当社の方が、管理費にかける費用が少なく,そのため、利益還元できるのです・・」

などなど、同じ平面で、比較し争い、相手を追い落とそうとします・・

同業者を悪く言うと、その職業の信用を傷つけます。

べドガーは、自分が代表する会社もアピールせず、掛け金も説明しません。

さらに、競争相手の会社をほめます。

「業界でも注目されている、立派な会社です」

「そこにある会社はどれも、一流の会社です」

べドガーは、自分のことは少しも話しません。

べドガーは、ブース氏の目的は、保険に入ることではなく、

融資を受けることであり、

さらに融資を受けることも、

今期の経営の発展の手段に過ぎないということを、

教えるのではなく・・・気付かせたのです。

その保険の比較をすることは、さらにその手段にすぎません。

人の目的と手段は階層になっています。

「それは何のためと三度繰り返せば、真の目的が明らかになり、
そのためにどうするを三度繰り返せば、真の対策が見えてくる』

と教えてくれた先輩がいますが、

手段と目的が次元が違う層を成しているというのが、私の考えです。

この場合、その階層は、保険の比較・保険の加入・融資・経営と

4段階にもなっています。

そして、その最下位の手段に時間をかけていることは、

単なる時間の無駄であるということではなくて、

最上位の目的が実現できなくなる危険を犯しているのです。

刻・一刻、危険は確実に存在します。

保険を入るように求められて、既に、数週間過ぎているのです。

万一、融資が受けられず、資金が投入できない時の損害の大きさは

保険の掛け金の多い少ないの問題とは、比較にならないはずです。

そして、彼は、ブース氏を訪問する前に、健康診断を予約しました。

彼は、質問を準備した段階で、ブース氏との商談の流れを、読みきって、

知的に、「わからせる」だけでなく、「行動させる」準備をしました。

彼は、ブース氏の合理性を信頼し、『彼のために』リスクを最低にする

「計画」を立てたのです。

人に、やりたくないことをやらせようとすれば、『抵抗します』

本来、

やりたいことを、やらせるように仕向ければ『かきたてられる』のです。

これが、柳生の活人剣です。

私は、べドガー氏が、ブース氏を操ったとは思いません。

べドガー氏とブース氏との間で、双方勝利の作品ができたのです。

『交渉とはそれ以前より、以後のほうが、双方ともに利益を得る

 価値の交換である』」

べドガーは、ブース氏の知性を信頼し、

彼が、『まともな』答えをしてくれることを期待し

質問を用意しました。

彼の『真の』利益を考え、決断のきっかけを用意しました。

彼の内面に、自分と同質のものがあることを、『信じた』のです。

互いに響いて場ができる

音楽家のフルトベングラーが言いました。

『感動とは、舞台と観客の間に起こるのです。』

これが、沢庵の『不動神妙録』の背景にある、『無心』

ということだと思うのです。

多くの人は、自分の『意思』を通そうとします。

自分が、正しければ、相手が間違っていることになるのです。

無心ということは、何も考えないことではないはずです。

個を超えて、

次の階層・次元で、共通の目的を実現すること、これが知恵のはずです。

自分の意志を押しとうし、邪魔モノを殺して、相手が誰もいなくなったら

・・皆殺しにしたら、

目前に広がるのは、無人の荒野です。

一体何が手に入るのでしょう。

自分からは邪魔に見える意見や考えを主張する相手が、

心から、納得してくれたら・・

敵が味方になり、

仲間が増えるのです。

というわけで、反論大歓迎します。

次回は意志力のぶつかり合い、意志力とは何かを考えます。

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